2006/04 更新(20071126修正)

油を使わず加熱しない、酒粕で長 期保存。風味を引き立てる生の味わい。最高の調理方法を紹介。
料亭の味にも匹敵するこの生の製法は、あおもりくまが考案・開発しました。
この美味しさを、より多くの人に味わってもらいたいので、ここに紹介します。

創作料理:生のフキノトウ味噌
2003年春に(゜(エ)゜)が考案した新 しいブレンド方法を余談を交えて紹介します。

mixi 山菜コミュや mixi の(゜(エ)゜)の日記。またはココでこの製法を知り自作・商品化した方は、
ここのページに直リンクしてくれたら嬉しい。商品化したからと言って金を取るつもりは無いです。
BBSに書き込んでも返事できるか怪しいほど放置気味なので事前にリンク許可を得なくてもOK。
料理ページでの公開時に検索しても出てこなかったこの製法。今さっき検索したら出るわ出るわ
凄いサイト数。元祖のタイトルはとりあえず外しておこう。やはり元祖の証明は難しいのかな??

バッケ味噌の完成写真
※フキノトウの花は小さな花の集合体が更に密集した状 態にある。
所々に見える白っぽい細長いものはフキノトウが咲く前の花のつぼみです。


バッケ:津軽ではフキノトウのことをバッケと呼ぶ。山形県の庄内ではバンケと呼ぶそうな。
同じ東北の日本海側だから方言も似通ってるから、 物の方言名も似ているよね。

 きっかけは単純だった・・・・・・炒めるのが面倒くさいというかフライパンだと一度に 多くを作れない。大き目の容器で簡単に大量生産できて油を使 わずカロリー控えめ。しかも保存も効く方法は無いか。味噌だけならしょっぱ過ぎるし工夫が無い。ワンポイント欲しいところ。そんなとき酒屋で上等な酒粕を 見つけた。

そうか!!! Σ(゚(Д)゚ ) 粕漬けだ!

 酒粕はアルコールを含み保存性に優れる。粕漬けもあるし空気に触れなきゃ酸化も防げる。味噌も味噌漬けってあるし、フキノトウ味噌だから味噌 は必須だ。味噌と酒粕の組み合わせはなかなか良かった。生だと食品衛生上良くないと言われたこともあるが、漬物の代表格「たくあん」は加熱してから漬ける 訳ではない。生から干したりして漬ける。キムチだって生の白菜を使う。だから野菜か山菜かの違いしか無い。

  細かく刻んだフキノトウを油味噌で絡める従来の方法では油も酸化しその場で食べるなら良いけど日持ちはしない。最初はスタンダードなフキ味噌を作っていた けど食用油はカロリー高いしエコナとか高いから大量生産には向かない。伝統 的なフキ味噌(フキノトウ味噌/バッケ味噌/バンケ味噌)はどこにでもあるし、いまからわざわざWebで紹介するほど珍しいものでもない何処にでもある伝 統的な郷土料理だ。

オリジナルの バッケ味噌を作ろう!

酒粕が苦手な人でも 大丈夫な生の素材を生かす調合

  ふきのとう味噌だから、まず味噌は決定。 次は良い酒粕をゲット。残るは調味料の名脇役である味醂。味噌のしょっぱさと苦味を打ち消す砂糖多め。酒粕が良いから砂糖は上白糖ではなく自然な味わいの 三温糖に。味醂は味醂風ではなく本味醂を調達。値段も大差無いし、旨いものを作るには旨い素材を生かす旨い調味料を使わなきゃ勿体無い。

 この酒粕、1kgで260円と激安だけど、大量生産の工場で作る日本酒の白い板粕とは違い、ちゃんとした酒粕である。酒粕といえばアミノ酸や 繊維質を豊富に含み小匙1杯で1日に必要な食物繊維を遥かに超える量を摂取できる。女性の悩みでもある便秘にも効く。
 酒同様に麹を使った味噌も食物繊維とアミノ酸が豊富に含まれているし、フキノトウそのものも利尿効果や解熱、健胃などかなり漢方薬的薬効があ る。  生のフキノトウはカリウム・カルシウム・カロテン・ビタミンA、B、Cを多く含む健康食品だ。

  可能なら加熱による成分と風味の変化を避けたい。 山菜の苦味はポリフェノールアクは捨てるものというイメージが強いが、海外ではアクは旨み成 分として捨てないところもある。フキノトウのように特にアクの強い山菜はフキより大量にポリフェノールや栄養価を持っているからドロドロ血の人には良いか も?。
  普通、生で食べるには苦過ぎるフキノトウだけど、味噌をつけて食べれなくも無いらしい。普通に考えれば熊やカモシカじゃ無いんだから生で食べようなんて思 わないけど、何も無ければ食べるかも知れない。但し体に良いと言っても食べすぎは注意。多分お腹が緩くなるかも。

 でも、それほど強いアクでも調味料次第で旨みになる。フキノトウは少量でも香りが強く、風味も爽やか。 独特の苦味も好き嫌いが分かれるところだけど、山菜好きにはたまらない味。 初心者にとって最初にイメージが悪ければフキノトウが苦手になりかねない。それは避けたい。今回はとりあえず1回アクを捨ててみたところ、女性にも喜ばれ る味となった。


フキノトウを採取してくる

採るなら良いものを 採りたい

 雪国の春は里、山間部の道路周辺、そして山奥と春は低いところから高いところへゆっくり登っていく。山菜採取の期間も長く、苦労して山奥の沢 を登れば5月下旬まで楽しめる。 

道路脇とか、田んぼの畦とかもいいけど、遊歩道の無い河川敷や土手が採りやすい。だけど、拘るならやっぱり山に行くのが通ってもの だ。


 ここは青森市内だけど、中心地から30分ほど車で走った某山中。自然がいっぱい自然の恵みもいっぱいだ。 山菜採りには天 国みたいなところでもある。今回は青森市のホームグラウンドである下湯はパス。多分、5月中旬まで雪がいっぱい残ってるはずだから 行くだけガソリンの無駄。

 でもって、下見がてらに標高が低めの山へ行ってきたのだけど、読みは大当たり。フキノトウが満開だった。 雪もまだ多く彼方此方に 雪解け水で小さな沢が出来ている。ここに頭を突っ込んだらどんなに寝不足でフラフラでも一発で頭が冴えるだろう。

こんな雪解け水で煎れたコーヒーやお茶は格別 だろう なぁ。
今度はお茶セット持参で来よう。

 そんなこんなで周辺を散策し、中くらいのスーパーの買い物袋2つがいっぱいになった。乱獲を防ぐために具体的な採取場所や採取に適する程度な どは伏せておく。
 採って来たフキノトウの写真を参考にしてくれ。

 青森じゃ採り尽くそうと思ってもできないくらい生えている山菜なので問題ないけど、首都圏では高級食材だしそんなに採れないかも。フキノトウ 1個に対して各分量はカレー食うときのスプーン1杯が1と換算すれば丁度良いだろう。

 このフキノトウの白さを見て!。白菜の真ん中みたいな色。限りなく白に近い。 これこそ雪の合間から出てきたばかりの最高級のフキノトウだ。伸び過ぎだって?そんな事は無い。主役はふきのとうの風味であって、ふきのとうの伸び具合で は無い。 10cmくらいに伸びてもツボミと殆ど変わらない柔らかさ。モヤシのように瑞々しくてシャキシャキ。歯触り最高のフキノトウは、スーパーで買えるものとは 全くグレードが違う。

 雪は雪掻きの重労働があって大嫌いだけど、雪があるからこそ春の山菜も豪雪地帯ならではの最高品質になる。  長い冬を地中でじっと待ち、春の訪れを感じ一気に伸びる元気な 山菜を味わずして春を感じることはできない。
  春一番の訪れを知らせる山菜の代表格「ふきのとう」「タラの芽」を食べなきゃ春が来たって感じないよって人はオラだけじゃ無い筈だ。


分量は適当に、あとは勘 かな?

 料理をする人なら適材適量は勘が殆ど。これは各自で調整して欲しい。料理ページのは初 期作品の分量と材料で。この2006年版は胡麻は無し。胡麻は胡麻で風味は良いし相性も良かったけど、今回の出来もナカナカ良い。どうせ作っても貰い手に 不自由は無いのでKg/リットル単位だ。分量の計算もし易いので目安はこんな感じでどうだろう。

フキノトウ:1 / 酒粕:2 / 味醂:1 / 味噌:3(赤2:白1) / 三温糖:1

 味醂は処理用に500cc使い、揉んで溶け出したアクを捨てる。残りの500ccでもう一回揉みそのまま混ぜるといい。
 赤味噌が色的に良いけど、合わせ味噌はそれぞれ単体より旨み成分の強調が得られて旨いという具合に、料理では旨みを増すために合わせ味噌とい う方法もあるので、今回は赤を2に、白 を1で調合してみた。

では、作り方を披露


 アクの強いフキノトウを生のまま刻むと空気に触れて真っ黒になってしまう。それでは苦 味も強烈で見栄えも悪く風味も台無し。そこで考えたのが味醂だ。
 味醂には砂糖が含まれていて、刻んだフキノトウを直ぐに味醂に馴染ませると表面を覆い、空気に触れ難くするのではないかと思った。
 実際、これは大正解だった。  酸化を防いで色も比較的緑や黄色が残るくらいの効果があった。
 どうせ作るなら、酸味のある「みりん風調味料」よりも、「本みりん」をお薦めする。結構な違いが出るので出し惜しみせずにホンモノを使おう。 これは全国展開をしているスーパーのブランドなので198円だし、わざわざケチる理由も無い。というかチョットしたところでケチるのは無し。

準備:容器に本味醂 を入れておく

 酸化を抑えるコーティング剤である味醂を500ccほどタライに流し込む。刻んだら混ぜるを繰り返す作業が始まる。

タライに本みりんを注ぐの図


(1) フキノトウをできるだけ素早く微塵切りにする。

  更に縦横に包丁で叩く。このように切ったら、刃を90度持ち替えて刻む。細かく刻むほど空気に触れ酸化し黒くなり易いので素早く行なうように。刻んだらす ぐに味醂を入れた容器に放り込みかき混ぜる。これをふきのとう1個ごとに繰り返す。一番大変な作業でもある。

細かく刻む

ふ きのとう1kg分を30分かけて全部みじん切りにしてみた。普通は手がアクで黒くなるけど、味醂の効果なのか、指先は黒くならなかった。この状態で一回 ちゃんと揉んで、真っ黒になった味醂を捨てる。 ふきのとうのアクが大好きな人はそのままでいい。この強烈なアクが保存性を更に高める。
みりんで揉む

(3)酒粕を入れ る。

 商品名を丸出しにしてみる。というかこれしか売ってないし、このような酒粕を一般に販売してくれていることに感謝。酒のスーパースギヤマで 売っている。いまはもう販売を終えているので来年の2月くらいには再入荷するかも?。

これが上等な酒粕だ。これじゃないとダメ!

今回は何が何でも作ると決めていたので、3袋ほどストックしておいた。板粕と違ってただ放置してても駄目だ。袋の隙間に水分が浮いてくるので、袋に 入った状態でもたまに袋ごと揉んで攪拌してやると良い。この酒粕は粘り加減がいい感じを出している。ツナギにも良い粘りだ。1袋は1kg。これを2袋投入 した。

一気に2袋(2kg)投入。

満遍なく練りこむ。酒粕は冷蔵庫で保管しておこう。寒冷地では冷蔵庫並みに涼しいところに保管して置けばそれでいい。問題は手の熱で温まらないように、酒 粕が冷えているということが重要。

酒粕を練りこむ

(4)三温糖を入れる

 ダマにならないようにフルイにかけながら入れてもいい。これは三温糖じゃなきゃ駄目。上白糖やグラニュー糖や合成甘味料は却下。黒砂糖でも良 いけど、あまり砂糖そのものが味を主張してしまうと駄目なので中間を取って「三温糖」を選択してみた。

三温糖を1kg投入

 砂糖の塊が残らないように気をつけて満遍なく練るように。 茶色い砂糖だけに薄っすらと茶色みを帯びてくる。 この時点で味醂と砂糖の強力なコーティング。酒粕の粘りも加わってフキノトウは殆ど空気から保護され酸化は弱まる。 ちなみに山菜保存瓶に入れている2年モノはまだ同じ色を保っている。

三温糖を練りこむ

(5)2種類の味噌 を投入する

 赤味噌2:白味噌1 で投入する。赤味噌と白味噌では旨み成分が異なる。赤をベースに、白で旨みを増してみるテスト。赤味噌の強い風味を少しは和らげるようだ。来年は割合を逆 にしてみようかと思う。

2種類の味噌を入れる

更に練る。ひたすら練る。最後の練りだ。気合を入れて素早くムラ無く練りこむ。このときに注意するのは空気を入れないように水平にかき混ぜるように。空気 に触れる面が少なければ少ないほど良いのだ。中に気泡をいっぱい入れたらそれだけ酸化が促進して色合いも悪くなる。

味噌を練る

出来上がりの状態。この状態では馴染んでないのでまだ酒臭い。1時間くらい放置すると食べられるようになる。各種の素材が混じり馴染んだら本当に絶妙な風 味になる。寝かせる時は雑菌が入らないように大き目のゴミ袋などで覆ってしまえば良い。実際に容器に移し替えたのは1日半を経過してからで、充分に素材同 士が馴染んでいた。

保存について

 あまり空気に晒すと空気に触れた所から酸化して茶色くなるので、ジップロックコンテナに密閉保存すると良いだろう。ジップロックなら冷凍して も割れ ないし、このようなドロドロな食べ物は最近では山菜保存瓶よりジッ プロックコンテナが最適。(またもや商品名を連呼してみる。だって便利だし)
 基本的に冷蔵。長期間なら冷凍してしまって、冷凍は冷蔵庫で解凍してから一度かき混ぜると良いだろう。解凍後は多分、表面に水が浮くので捨て るか混ぜてしまえば良い。


何に使えるか

作り置きできるタイプだから長期保存分は冷凍庫へジップロックで。直ぐに食べる分はジップロックコ ンテナで冷蔵庫へ。 冷凍しておいたのは解凍すると水分が分離するので解凍したものは練っておくこと。

≪味噌おにぎり≫
塗っても美味しい。具としても良い。魚肉の練り物と絡めて具にしても良い。
また、フキ味噌焼きおにぎりも乙。

≪田楽≫
タラなどの白身魚に塗ってラップで冷蔵庫に半日寝かしておいたのを焼いてもいい。
植物系のアミノ酸(旨み成分)と動物系のアミノ酸の組み合わせで味わいも良い。
タラなどの淡白な魚ほど馴染みやすくフキノトウの味も際立つ。
薩摩揚げに塗って焼いても良い。

≪焼き油揚げ≫
中を剥がして内側に塗った油揚げを網で焼けばカリカリの油揚げとフキノトウ味噌の香りが鼻から抜ける逸品。

≪つけだれとして≫
モロキュウのように、淡い味の生野菜を食べる時につけて食べても良い。
冷しゃぶ(豚)にチョットつけて食べる。

≪豆腐にトッピング≫
冷奴にトッピングすれば春の味わいの冷奴を堪能できる。

≪和え物≫
茹でたほうれん草の茎や水菜と和えても良いし、竹輪の輪切りに和えたり、イカ刺に和えても美味しい。

≪うどんに≫
ダシ汁で割ったフキノトウ味噌をザルうどんでツケ麺に。釜揚げうどんに絡めても。

≪ご飯のお供に≫
熱々にご飯に乗せて戴く。
冷えたご飯なら少し多めに乗せて冷たい緑茶で冷し茶漬けに。

≪酒の肴に≫
和風だから日本酒の肴にもバッチリ合う。


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